原文:http://blogs.magicjudges.org/telliott/2014/12/12/changing-morph-handling-in-the-ipg/

PPTQ前に急ぎで訳しているので、重要度の低い箇所の誤訳があってもご容赦ください。
文中に引用した新IPGの一節は、今後MJMJ等に公開される発行後のものの内容を保証するものではありません。



長すぎて読みたくない人へ:
たった今から、「変異の公開を忘れた」という違反への懲罰は【警告】となる。
変異を持たないカードを変異としてプレイし、それに概ねすぐ気づくことが出来なかった場合は引き続き【ゲームの敗北】である。
詳細な説明については以下のとおりである。


皆さん、このルールは我々の期待以上に複雑でした。
この公開忘れの問題は我々にとって不意打ちだったのです。我々の多くはオンスロート時代にジャッジをしていましたが、当時この公開忘れの話は大きな問題にはなっていなかったのです。「ゲーム終了後にゲームロスが発生する」という不快な状況を、より合理的な形へと修正しなければなりません。

この問題が話題に上がるようになったのはなぜでしょうか。オンスロート時代はコモンにバウンス呪文はなく、またKTKの変異コストはより高くなっており、そしてソーシャルメディアという議論の場があったことです。それぞれ単独では理由足りえませんが、恐らくそれらの相互作用でしょう。また、別の大きな要素として、今プレイされているゲームの数が当時よりはるかに膨大だということもあるでしょう。我々はこの種の違反は概ね0.2%程度発生するものだと考えていました。100人規模のPTQ(オンスロート時代は成功例でした)であれば、せいぜい1つのゲームロスが出る程度であり、特筆すべきものではありません。しかし、毎週のごとく行われている2500人規模のグランプリでは30超起きるということであり、それは当然より印象に残るということになります。

純粋な損得勘定で考えても、変異について不正を働くというのはまったく合理的ではありません。2/2のクリーチャー単体のもたらす利益は小さい一方で、(クリーチャーが死ぬとか、どこか他の領域に移動するとかで)不正が発覚するリスクは高く、そして発覚してしまえばそのような怪しげな状況は取り調べの対象になるわけです。我々が不快になるレベルのゲームロスが発給されていたことを考えると、ここを変える理由は十分にあるわけです。単純でしょう?

実はそうではありません。「変異のルール消すだけでしょ」と言われるかもしれませんが、問題は変異の部分ではないのです。より根の深い、哲学上の問題―ゲーム上の誤りで、対戦相手から見て明らかでないものは格上げするという―なのです。これは合理的なことに見えるでしょうか?プレイヤーがゲームの状態について注意深くあるべきなのは自身がその状況に責任があるときだけでしょうか?そして、他の状況でこのルールは教示者が何でも悪魔のものにならないようにしているのです。変異について「警告でいいじゃない」という人の多くは、構造的には同じ問題である《商人の巻物》についてはそう言わないでしょう。

さて、我々はより技術的なことを書くことも可能です。そして、一方で「このルール(訳注:格上げ規定)は変異については適用されない」とだけ書き加えようと主張する人もいました。しかし、我々にとってIPGは「例外は最小限にし、可能な限り直感的に理解できる」べきであるのです。特定のメカニズムのために例外を書き加えることは、覚える上でも運用する上でも困難を増やすことに繋がりますし、哲学の部分に触れないまま変異だけを例外扱いすることは極めて場当たり的に見えてしまうことでしょう。

我々は変異というメカニズムを詳しく掘り下げてみました。一体、教示者の問題と何が違うのでしょうか。考えてみると、それは「ゲームの終了時に起きる」という興味深い違いにたどり着きました。では、ゲームロスの相殺という哲学を展開して考えて、勝利の時に限ってその勝利を相殺する形でゲームロスを出すのはどうでしょうか?もちろん、これはラウンド時間の問題がありますし、バウンスの時の問題は残ります。また、非公開領域に移動する際に公開を忘れたときだけに格上げにするようにするとどうなるでしょうか?結局、どちらも問題があることがわかったので、最終的に変異によっての格上げは全面的に見送られることになったのです。

最終的に行ったことは、「なぜこの変更が必要になると思うのか」ということからの見直しでした。懲罰というのものは「正しい行動」を奨励するために定められているものであり、対戦相手が既に去っているということが「意識的に変異の確認を誤魔化す」という違反においては大きな利点をもたらすことが本質的な問題だったのです。PTQのプレイヤーが、ゲーム終了時にそうした不正を行おうと思わせないことこそが大事なのです。「適正さを確認するために必要な情報がどれであるか特定でき、違反が行われてからずっと区別できる場所にある場合は格上げしない」というルールがあります。この扱い自体は(その後適正であったことを公開させなければならないので)この問題に適用できませんが、一方である解決策への入口になりました。

変異を公開しないままゲームを終了させて片付けてしまうとき、ゲームをコントロールしていたのはどちらのプレイヤーで、敗者はだれでしょうか?恐らく、その前に「ありません」等の言葉でそれは明らかになっていることでしょう。似たことがバウンスの時にも言えます。対戦相手が「手札に戻す」という行動を始めた時、それは誰の目にも明らかな行動であって、バウンスさせたプレイヤーは状況をある程度コントロールできるため、ある程度の負担(訳注:恐らく戻そうとするタイミングで「それ何?」と聞くこと)を負うことが出来るはずです。こうして、我々はIPGの〔その他一般のゲームルール抵触行為〕の格上げに関する部分を次のように読み替えることにしたのです。

対戦相手が適正かどうか確認できない類の誤りは、懲罰を格上げすべきである。その種の誤りには、選択が適正であったことを示すためのカードの公開忘れや、変異を持たないカードを変異としてプレイしたなどの非公開情報の誤用が含まれる。適正さを確認するために必要な情報がどれであるか特定でき、違反が行われてからずっと区別できる場所にある場合(たとえばライブラリーの一番上であるとか、手札の唯一のカードであるとか、ゲーム終了時に戦場に残っていたとか)、可能ならばこの懲罰を格上げにせず、可能な限りその情報を公開すること。

この変更の効力はすぐに発揮され、また近いうちに更新されたIPGが発行されます。

単純な変更であっても実は哲学が様々なことまで影響するために困難な作業になるということを説明した結果、この長さとなってしまいました。我々は常に物事が良くなる方法を考えていますが、それはどんな挑戦であっても理路整然とした一貫性のあるものでなければなりません。今回の変更が、競技イベントにおける不快感を緩和する一方で、変異の悪用への道はほとんど開かないであろうことを祈っています。

コメント

nophoto
牧野
2014年12月13日11:15

日本語バージョンの作成ありがとうございます。
ざっとみ重要度の高い箇所に誤訳はないようです。

>訳注:恐らく戻そうとするタイミングで「それ何?」と聞くこと
とても分かりやすいです。
変異公開忘れは教示者と違って対戦相手が阻止することが期待できます。
そうしないことのインセンティブ(昨日までは相手のゲームの敗北)を排することで
そうすることを推進します。

重要度の低い箇所のフォローは後程フォーラムで連絡でいいですか?

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